1.保護司は、民間のボランティアです
保護司は、犯罪や非行をした人たちの再犯防止のため、地域社会への立ち直りを支える民間ボランティアです。法務大臣からの委嘱を受け、全国で約4万7000人が保護司として活動しています。
犯罪や非行のない、安全安心な社会を実現するため、保護観察官と協力して、次のような活動を行います。なお、保護司には給与は支給されませんが、活動内容に応じて実費弁償金が支給されます。
保護観察
更生保護の中心となる活動です。犯罪や非行をした人たちに対し、更生を図るための約束事(遵守事項)を守るよう指導するとともに、生活上のアドバイスや就労のサポートなどを行い、地域社会への立ち直りを助ける活動です。
生活環境調整
犯罪や非行をした人たちがスムーズに社会復帰できるよう、帰住先の調査や引受人との話し合い、就職先の確保などを行い、必要な受入態勢を整えるものです。
犯罪予防活動
犯罪や非行をした人の改善更生について、地域社会の理解を求める活動を行っています。毎年7月の「社会を明るくする運動」強調月間などの機会を通じて、講演会、住民集会、学校との連携事業などの犯罪予防活動を実施しています。
2.更生保護の主な内容
社会復帰を果たすには、本人の強い意志や行政機関の働きかけだけではなく、地域社会の理解と協力が必要です。 保護司をはじめとする更生保護ボランティア、関係機関等の幅広い連携によって更生保護が推進されます。
3.保護司の活動事例
1年間の保護司の活動についてご紹介します。
研修と保護司会活動
保護司会は年に3回程度の定例研修を実施しています。新任の保護司向けの研修の他、観察所主催の研修や、担当地区での地区活動を実施します。
環境調整の担当者になった場合
犯罪や非行をした人の釈放後の住居や就業先などの期住環境の調査を実施します。半年に1回程度、帰住先の確認と報告書の提出を行います。
保護観察対象者の担当者になった場合
保護観察官とともに犯罪や非行をした人の更生を支援します。保護観察対象者との面接を月2回実施し、3ヶ月に1回対象者の自宅訪問を行います。調査内容を翌月5日までに保護観察所に報告書を提出します。
4.先輩保護司の声
先輩保護司の方のインタビューを掲載いたします。
再犯を防ぐ上で重要なのは本人の意思だけではありません。周囲の人や環境によって悪い方向に進むこともあるのです。誰かがそばで見守ってあげることが重要ではないでしょうか。
また、保護司は難しいボランティアではありません。会話を通して相手を理解し、寄り添うことが大切です。特に、対象者が女性の場合は、女性の保護司の方が気持ちや立場に寄り添えるケースもあります。妊娠している方や子どもがいる方には、女性ならではのアドバイスも必要です。女性の方、ボランティア活動をしている方はぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか?
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私はお世話になった人から誘われたことをきっかけに保護司になりました。犯罪が減っていますし、保護司になってから危ない目にあったことはありません。また、事前に対象者の資料がもらえるため、内容によってはその対象者を担当するのを断ることが可能です。仕事が忙しいときは引き受けなくてもかまいませんし、対象者が決まってもお互いのスケジュールに合わせて面談日を設定できます。比較的自由度は高いと思っています。
保護司になろうか迷っている方は、「保護司に意義を見出せるか」だけでなく「人生で関わる人が増える」という点にも目を向けてみてください。
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ほかにも地域の啓蒙活動として、オリオンスクエアでのイベントや宮まつりに参加することもあります。保護司と聞くと威圧感があるかもしれませんが、人と会話ができれば誰でもできるボランティアです。聞く耳や話題性を持ち、相手の立場を理解してあげるだけで大丈夫です。
対象者は保護司を必要としています。他人だからこそ話せることがあるからです。立派なことは言えなくてもいいので安心してくださいね。
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しかし、保護観察対象を地域で見守ることの大切さは実感しています。再犯のリスクはあっても、だからといって対象者を放り出せば対象者のまわりで何か起こる可能性もあるでしょう。リスクが高い場合は保護司会が保護司を守りますし、対象者の情報をもらったときに合わないと感じたら断ればよいのです。また、保護司会はフォロー体制が整っているので、慣れるまではベテランの保護司が一緒に対応してくれます。
保護司として大切なのは、決して「相手を良くしよう」「更生させよう」とは思わないこと。家族ではない“地域の人”ができることがあります。「保護司をやってみようかな?」と思っただけで十分です。ボランティアだから途中でやめてもかまいません。向いていると思えたなら続ければよいだけ。
悩んでいるなら、誰かの力になれるなら、保護司になってみませんか?
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